巻頭言 院長
池田信二

皆様こんにちは、山都町は美しい紅葉の季節ですが、如何おすごしでしょうか?さて、既にマスコミ等を通じてご存知のことと思いますが、本年六月に医療改革関連法案が成立しました。この法案は六兆円もの医療費の削減、とくに社会保障費の削減を狙ったものですが、削減分をそっくり患者負担、病院負担に置き換えるものです。即ち、これは、患者様の病院受診を抑制し、その結果、病む人の生命を脅かすことになります。法案の一つに、二〇一三年までに介護療養病棟を廃止する、とありますが、つまり、現在入院中の患者様を強制退院させ、自宅もしくは有料老人ホーム等に移してしまおうとする、病人切り捨てととれるものです。どれもこれも国民を無視した法ばかりですが、しかし、愚痴ばかり言って

もはじまりません。知恵を出し合って難局をのりこえねばならないと思います。当院では直ちに、検討会を重ね、その結果、療養病棟を一般病棟に転換することができました。これで、現在入院中のみなさまは、今まで同様継続入院できることとなり、更に、病院経営にもプラスとなることが確認できました。病院職員の忙しさは増大しますが、皆、団結してがんばる覚悟です。将来、更に、多くの法案が出てくることが予想されますが、当院は自治体病院として、上質の地域医療を確保するため、一層努力する所存です。皆様のご理解とご指導、宜しくおねがいいたします。
骨粗鬆症とは 医師 野口 和洋

骨がスカスカになってもろくなると骨折しやすくなります.。それを骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と言います。年をとると骨を作る働きが低下し、男性は七十〜八十代で低下しますが,女性はもっと早く五十代から起こります。おじいちゃんよりもおばあちゃんのほうが、腰が曲がりやすく背が縮むことが多いのです。骨粗鬆症自体には症状はありませ

んが、背骨が曲がって腰痛が出てきたり、背が縮んできたりします。腰が曲がると胸やおなかの内臓を圧迫してくることもあります.また転んで骨を折った人は繰り返し易いです。老人が骨折しやすい場所は腰の骨,股関節,肩,手首です。骨粗鬆症は今では健康診断の項目に入っています。骨が丈夫な人は活動的で栄養(カルシウム…乳製品,大豆製品,魚介類など)を取ってきた人です。足りない人は薬で補充します.骨折しないためには転ばないようにすることも大事です。
第四十六回全国国保地域医療学会 総看護師長 赤星 美鈴

十月十三・十四日の二日間、広島国際会議場において、全国国保地域医療学会が行われ当院より池田院長以下、竹岡調理師、恒吉放射線技師、二宮主事、看護科より工藤看護師、藤本看護師そして私の計七名が参加致しました。この学会は、国民健康保険診療施設関係者が参集し、地域医療及び地域包括ケアについて、相互理解と研鑽を図ることを目的としています。当院からも常日頃より取り組んできた研究について、三題の演題を発表致しました。工藤洋子看護師より、「へき地の病院における小児外科手術と看護師の関わり」について、藤本喜美子看護師より、「生涯高カロリー栄養が必要な患者様への取り組み クローン病患者の在宅栄養管理」について、私が「当院におけるC型慢性肝炎治療の現況 第五報 HTLVー1重複感染の臨床的検討及び看護科の取り組み」について口演発表しました。発表に対し高い評価を頂き「続報をお願います。」と言った意見も聞かれ充実した発表でした。田舎の小規模の病院ではありますが、常に全国レベルにある発表であることを確信して帰ってきました。その他特別講演や国保直診開設者サミットなど多くの基調発言を聞くことが出来ました。今回の学会で学んだ内容を地域の皆様に対し、総合的なサービスの向上に繋げる、さらなる努力を続けたいと考えます。
インフルエンザについて 外来主任看護師 工藤由希子

インフルエンザは、初冬から春先にかけて流行します。Aソ連型・A香港型・B型の三種類が同時に、あるいは混在して、それぞれが毎年少しずつ変異しながら流行を続けています。インフルエンザに罹患すると、肺炎、気管支炎のほか、脳症、心筋炎、中耳炎などの合併症もあり、大きな被害や生命の危険性もあるため、決して軽い病気ではありません。ワクチン接種により、罹患しにくくなり症状の重症化を抑えることが出来るため、接種を勧められています。ただし、ワクチンは極微量の鶏卵由来成分が残存するため、アレルギー症状がまれに起こることもあります。卵アレルギーの人は接種要注意者に該当しますので御注意下さい。
当院予防接種スケジュール
接種期間:十一月一日〜十二月十五日の平日診療時間内
接種回数:十三歳未満は二回
二回接種を行う場合は,より免疫効果を高めるために、三〜四週間隔で接種することが最適です。
リハビリの効用について 理学療法士長 仁木 一雅

リハビリテーションの本来の意味は、社会復帰や更正するという意味があり医学的なことだけではなく、社会的・経済的な意味合いもありとても広い範囲を示す言葉です。今回は理学療法についてお話したいと思います。理学療法は、身体に障害がある方に対してその障害されている動作能力の改善を目的に温熱・寒冷・電気・光線・力・運動など物理的なものを用いて治療を行う治療法です。例えば、歩行が困難な方の対してはまず歩けない原因が何かを探ります。痛みなのか、筋肉が弱いからなのか、関節が動かないからか・・原因によって治療も変わります。痛みに対しては、温熱や電気などで痛みを和らげ、筋力低下に対しては運動で筋力をつけ、関節の動きはストレッチ運動を行ってやわらかくします。このようにいろいろな原因を解決して歩行などの動作を行いやすくし、生活が楽に行えるように治療を行うのが理学療法です。他にも作業療法や言語療法などの治療法があります。受けて見られたい方はぜひ、一度医師やリハビリスタッフにお気軽にご相談ください。
百歳万歳! 病棟師長 田北幸子

佐藤ミユキ様百歳のお誕生日おめでとうございます。明治三十九年旧蘇陽町玉目で六人兄弟の五番目として生まれ、七人の子供に恵まれ農業一筋で働いて来られました。九十歳でご主人が他界され、九十三歳で軽い脳梗塞となり、九十四歳までわらびやゼンマイ採りや、大好きな牛養いをされていました。その後、入退院を繰り返し、九十七歳に再度の脳梗塞で入院生活が始まりました。現

在は拘縮予防のリハビリと胃ろうチュウブより栄養補給をしています。色白で頬をピンク色にして気分の良いときは話しかけに開眼し、返事されてお元気です。長男の誠様に長寿の秘訣を聞きました。「皆農家で、肉、魚は食べず野菜が好き。仕事は一時も休みません。」さらに「牛が大好きでのメス牛と一緒に嫁いだため、お陰で佐藤家が栄えました。」と笑って話して下さいました。
視察研修 経営企画係長 渡邊寿彦

去る十月三日、福井県越前町より本院への「病院視察研修」に来院されたのは、越前町国民健康保険織田病院の島田院長先生以下、四名の方々です。これは、看護職の専門誌「看護部マネジメント」に病院機能評価受審から認定に至る本院の取組みが「小規模病院の大きな挑戦」というタイトルで特集記事として紹介され、それを本院と同じくらいの病院規模の織田病院の方が読まれて、「是非、詳しい話を聞かせて欲しい。」ということで、今回の研修となったものです。四名の方々は、熱心に質問され、院内見学や準備書類の確認など、予定時間を越えて充実した研修となりました。本院としても、院内体制見直し等の良い機会となりました。

療養病床から一般病床への移行について 医事係 枝尾博文
平成十八年十月より、当院では療養病棟(医療型五床・介護型十二床)の病床を、既存の一般病棟四十床に加え、五十七床で運営していく事になりました。この事は、現在全国で三十八万床有する療養病棟を、六年後には十五万床に減少するという厚労省の社会保障予算を縮小すると言う狙いにあります。近年の患者様負担の引き上げと、病院への診療報酬の引き下げを考え、現在療養病棟入院中の患者様が継続して安心した医療を受けられることと、地域に根ざす病院として最良の考えであると思います。病院利用の皆様のご理解と、ご協力をお願い致します。

編集後記 二宮 辰司
山都町では、稲刈りもおわり長い冬の訪れも間近となりました。寒くなると、体を動かす機会も少なくなり、関節や筋肉がこわばり、転倒が多くなる時期です。四季の中で最も過酷な季節となりますが、体調管理には十分気をつけて、早めの対策や病院への受診をお願いします。